[メイン2]   : 日が沈み、空一面真っ黒に染まりながらも、人々の往来は未だ止まることを知らない。
活気のある街─────

[メイン2]   : ─────の、裏。

[メイン2]   : ビルとビルの間に少しだけある空間。真っ暗な路地裏。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : と、いっても…………矢の目撃情報は、この町に限らない。
カバーストーリーをいくつもばら撒いて、誤魔化されてる可能性も否定はできないってわけよ。
何もかもが不確定要素。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 私は、当然のようにお昼時に鯖缶を路地裏でがっつく。
ん~~~! これよこれ! これが私の人生を充実させる一時ってわけよ!

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「さぁーて、と」
私は鯖缶を食べ終わると、ポイ捨てするわけにもいかないから

[メイン2] エニグマ :  

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 鯖缶の残骸を───不用意にスタンドを出して『紙』にした。

[メイン2]   : ……ポタ……ポタ

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「───ぇ 雨?」

[メイン2]   : フレンダの立てる物音と吐息しか聞こえなかったはずの、音一つない、静かな路地裏で

[メイン2]   : 重たい雫が、垂れ落ちる音。

[メイン2]   : フレンダが上空を見上げると─────

[メイン2] 月霊髄液 :  

[メイン2] 月霊髄液 : ─────銀色に輝く"液体"が、ビルの隙間から顔を出し……

[メイン2] 月霊髄液 : 曲面を描くソレは……フレンダの気配を認知したように、蠢き出し。
それは……『生命体』のようで。

[メイン2] 月霊髄液 : 棘のように、その姿を変形させ─────
─────フレンダのもとへ、急落下ッッ!!

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : ッッッぅぅう!!!

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 暗部としての危機察知能力が、背中をドン、と押し。
『重力』に逆らう事なく、急落下するその″液体″の落下地点から素早く離れるッ!!

[メイン2] 月霊髄液 : "それ"はフレンダが元居た場所へ、その地面へ深く突き刺さるッッ!!!

[メイン2] 月霊髄液 : 固いアスファルトが、まるで発泡スチロールのように……

[メイン2] 月霊髄液 : いとも簡単に剥がれ、その瓦礫が周囲へ銃弾のように飛び交う。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「───ッッッ!!!」
躱して、体勢を整える暇もなく
瓦礫の礫が、肩肉を、私の自慢の美脚を、掠り
そして……抉る。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「く、はァっ……!!」
思わずよろめくが、体勢を維持し。
後ずさりする。

[メイン2] 月霊髄液 : そんなフレンダに、休息など与えんばかりに……

[メイン2] 月霊髄液 : ─────スゥゥ。

[メイン2] 月霊髄液 : その形状を……刃に。

[メイン2] 月霊髄液 : 生き物のように、ビルの壁間を左右に飛び交いながら、重たい液体金属は、フレンダのもとへ急接近ッッッ!!

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : コイツ 

  スタンド
『幽波紋』───!!?
まさか、いくらなんでもいきなりッッ……しまった、私……さっきスタンドを出して……!
それで判別したってわけ……ェェエエエッッッ!!!

[メイン2] 月霊髄液 : そう─────。

[メイン2] 月霊髄液 : ─────スタンドの気配に誘き寄せられた

[メイン2] 月霊髄液 : この液体金属もまた──────────"スタンド"ッッ。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : ッッ~~~!!! このまま踵を返し
猛ダッシュ───なんて、わかりきった事をしてるようじゃあ
この液体金属……いつか私の命を刈り取るに違いないってわけよ。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : むしろ───

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 左右に飛び交った際に、一瞬生じる間隙。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : ───そこに突っ込み滑り込むッッ!!!

[メイン2] 月霊髄液 : その液体金属は、飛び込んで来た"命"を狩らんとばかりに
迎撃するように、重たい刃をフレンダの腹部へ─────

[メイン2] 月霊髄液 : 『真っ二つ』にせんとッッ…………!!!!

[メイン2] 月霊髄液 : しかし、その反応は、遅れる。

[メイン2] 月霊髄液 : フレンダが逃げることを予測していた動きであったため。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : きっと、コイツの本体は……とんだマヌケ、だとか
ククク……クククク……と反吐が出るような笑みを浮かべてたようだけど、甘いわねッッッ
こちらに向かってくる勢いを、急には止められないってわけよ!!!

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : そのまま、無事間隙に滑り込み
『向こう側』へ───そのまま踏み込み、ダッシュッッッ!!

[メイン2] 月霊髄液 : 液体金属の間に生じた穴を掻い潜られ─────

[メイン2]   : ─────冷たい、路地裏を突き進むと、そこには……

[メイン2]   : ─────先程の"液体金属"を周囲へ纏わせた、男が。

[メイン2]   : パチ、パチ、パチ、パチ。

[メイン2]   : 拍手を、フレンダへ。

[メイン2] 一条 : 「─────これはこれは……」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「!!」
その拍手が、耳障りだと言わんばかりに睨みつける。

[メイン2] 一条 : 夜空に浮かぶ月明かりに照らされ─────その男の顔が、徐々に明らかに。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「───アンタが……『本体』ってわけね……」
靡く赤髪。ホストとしてやっていけば普通に食っていけそうな顔立ち。

[メイン2] 一条 : 『余裕』と『誇り』がそこに浮かんでいるかのような、フレンダという、乗り越えるべき障害を品定めするかのような表情を浮かべる青年が。

[メイン2] 一条 : 「御名答……申し遅れました、私……一条、と申します……」

[メイン2] 一条 : 周囲に巨大な液体金属を浮かべながら、丁寧に御辞儀。

[メイン2] 一条 : 夜風に、男の髪が揺らめく。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「フゥン……″一条″ねェ……
 見たところ…………『余裕』たっぷしって感じってわけね」
手を腰に当てて、くい、っと顎で一条を指す。

[メイン2] 一条 : 「ええ、それはもちろん……」

[メイン2] 一条 : 「……『勝つ』つもりですからね」

[メイン2] 一条 : ニヤリと笑いながら。

[メイン2] 一条 : 「ククク……そういう貴女も……『覚悟』を持っておられるようですね」

[メイン2] 一条 : 「……私の初陣相手として、申し分無い、と言ったところでしょう……」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「それは結構な事ってわけよ───……『覚悟』?」
そう言われ、きょとん、とした表情を見せる。

[メイン2] 一条 : ……実際、一条はフレンダという少女を、最初は見縊っていた。

[メイン2] 一条 : 一条の縄張りに、迂闊にも足を踏み入れた少女。
その命を刈り取るには十分過ぎるほど条件は整っており。

[メイン2] 一条 : ……尤も、『矢』の情報を聞き出すために、半殺しの予定ではあったため、威力は控えていたものの。

[メイン2] 一条 : その攻撃を避け、ここまで辿り着いた。

[メイン2] 一条 : その力量、その執念には感服するものがある。

[メイン2] 一条 : 「ええ」

[メイン2] 一条 : フレンダに頷き。

[メイン2] 一条 : そうして、手を差し伸べるようにし。

[メイン2] 一条 : 「貴女も探しているのでしょう?」

[メイン2] 一条 : 「──────────『矢』をっ……!!」

[メイン2] 一条 : ざわ……  

       ざわ……

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「───と、いう事は……
 …………立場上、私とあなたは商売敵、ってコトね」
流麗な指先で、金髪をぱさっ、と虚空に広げる。

[メイン2] 一条 : 「……ええ、私にも『立場』があるものですから」

[メイン2] 一条 : じっ、とフレンダの動きを凝視する。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : ざわめく空気に気圧されながら───……
こちらを凝視する一条という男を、こちらも凝視する。

[メイン2] 一条 : 「あの『矢』は……『必ず』私が見つけ出しますよっ……!!」

[メイン2] 一条 : そう言い放つや否や─────。

[メイン2] 月霊髄液 : 一条の周囲に纏う、先程よりも多量の液体金属が
一気にフレンダを囲むように、襲い掛かるッッ!!!

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「───っあ……!!?」
さっきより、パワーもスピードも段違い……っ!?
ていうか、これ『水銀』ッッッ……!!!

[メイン2] 一条 : 「─────さぁ……!!潰れろっ……!!」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「キャアアアアッッッッ!!!!」

絹を裂くような悲鳴をあげ、私は───

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン :


『紙』を広げる───

[メイン2] 一条 : 「ククク……!!」
やったか、と思ったが─────

[メイン2] 一条 : 「………何……?」

[メイン2] 一条 : ざわ……ざわ……

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 真下から、吹き上がる風が
私を押し上げ───一条の方へと跳躍ッッッ!!!

[メイン2] 一条 : 「なっ……!?跳躍だとっ……!?一体貴様の、どこにそんな力が……!?」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「と、───思った? 良いわね
            かお
 その次から次へと移ろう表情……摘むには十分綺麗ってわけよ」

[メイン2] 一条 : 一気に急接近され、焦りを抱く一条。

[メイン2] 一条 : 一条自身には、戦う術など一切持ち合わせておらず。

[メイン2] 一条 : フレンダの身体を観察するも、先程の跳躍の謎は掴めず……。

[メイン2] 一条 : ……いや。

[メイン2] 一条 : 「……『スタンド』の能力というわけか……!!」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「───ご名答っ♪」
そのまま、宙で舞い。
体重を全乗せした蹴りをまず一発お見舞いしようと───

[メイン2] 一条 : 「ぐはぁっ………!?」
その蹴りを鳩尾に入れられ、体勢を崩し、そのまま背後の壁へ激突するも。

[メイン2] 一条 : 「─────"月霊髄液"(ヴォールメン・ハイドラグラム)ッッ!!!」

[メイン2] 月霊髄液 : フレンダの背後より、二人を影で包み込むほどにまで巨大化した液体金属が迫り─────

[メイン2] 月霊髄液 : ──────────フレンダを飲みこまんとッッ!!

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「っ……!!!」
なんてスピード……ダメージを喰らった瞬間に、すぐに動かせるなんて……これじゃあ呑まれるッ!!


普通なら……そう今の私は……あなたと同じ″スタンド″使い……!!!

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : まさか、こんな所で使うとは思わなかったけれど───

良いってわけよ! 抱えて死ぬほどのもんでもないってわけよッッ!!!

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 刹那、突如として現れる───

[メイン2] 一条 : ざわ……ざわ……

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : すでに、ピンの外れた


───″スタン・グレネード″ッッッ!!!

[メイン2] 一条 : ……お出まし、というわけか……ククク……!!

[メイン2] 一条 : 「……!!」

[メイン2]   : けたたましい、爆音と
それに相応しいほどまでの閃光が───広がるッッッ!!!

[メイン2] 一条 : 既に爆破準備が整った、グレネードだとっ……!?!

[メイン2] 一条 : 「ぐあああぁぁあああぁっっっ………!!!!」

[メイン2] 一条 : 眼前に放たれた、青白い光に目を焼かれ─────

[メイン2] 一条 : ─────一瞬の、隙が生じる。

[メイン2] エニグマ : 一瞬、目も耳もその光と音に呑まれる寸前。

───見えた、スタンド像。
そしてそのスタンドは気づけば、フレンダと共に。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 一条の背後に───。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 再び、全体重を乗せるように───
宙を舞い……

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン :  

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「───でりゃあぁぁぁぁあぁぁッッッ!!!!!!!」

[メイン2] 一条 : 視界は完全に奪われ、その思考も、突如襲われた妨害の処理に精一杯で

[メイン2] 一条 : 背後からの攻撃に対応ができ

[メイン2] 月霊髄液 :

[メイン2] 月霊髄液 :  

[メイン2] 月霊髄液 :  

[メイン2] 月霊髄液 :  

[メイン2] 月霊髄液 : ──────────自律防御

[メイン2] 月霊髄液 :  

[メイン2] 月霊髄液 :  

[メイン2] 月霊髄液 :  

[メイン2] 月霊髄液 : ─────意志を持たぬそれは、一条の背後へ厚さ数センチ程度の壁を作り出すッッ!!

[メイン2] 月霊髄液 : それは、一条の『意地』が、そこに立っているようで……

[メイン2] 月霊髄液 : スタンドとは、精神体を示し。

[メイン2] 月霊髄液 : 本体の、『負けられない』という覚悟の顕現体でもある。

[メイン2] 月霊髄液 : 評価されてこなかった秀才、凡人に蹴落とされた秀才だからこその

[メイン2] 月霊髄液 : ─────執着心ッッ!!

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 忘れていた。スタンドってのは精神体ッッ!!!
追い詰められたら追い詰めた分、何をするか、わからな……!!!

瞬間ッッ!!!
その硬度は───足を伝い、全身を痺れさせ───ッッ!!!

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「~~~~~ッッッ!!!」
弾き返され、逆にこちらが地面に勢いよく転がる。

[メイン2] 一条 : 「──────────ふざけろっ!!俺は、負けられるかぁっ!!!」

[メイン2] 一条 : 丁寧口調が剥がれた、青年の怒号。

[メイン2] 一条 : まだ視界はクリアではない。

[メイン2] 一条 : だがそれでも─────男は、意地を見せるっ……!!!

[メイン2] 月霊髄液 : ─────液体金属は、フレンダの位置を把握し切れていない。

[メイン2] 月霊髄液 : どこに『敵』が転がったのか、定かではない。

[メイン2] 月霊髄液 : ゆえに─────

[メイン2] 月霊髄液 : ─────スゥゥ。

[メイン2] 月霊髄液 : 四方八方へ、刃を振り回すッッ!!!

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : …………───それが本当のアナタってわけ……!!!
思わず、気圧されビリっと肌がヒリつくが……転がった勢いを利用し、咄嗟に立ち上がった瞬間。

[メイン2] 月霊髄液 : ビルの壁が削られ、破壊されていき、煙がこの暗い路地裏に立ち込めるッッ!!

[メイン2] 一条 : 「俺は……!!這い上がってみせる……!!!」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「え 嘘 マジ───!!!」
振り回される刃が視界に広がった瞬間───破壊、破壊、破壊。
私は───その粉塵に巻き込まれる。

[メイン2] 一条 : 「やっと掴めるんだ……!!夢……希望っ……!!頂点……!!!」

[メイン2] 一条 : 「邪魔を………するなぁ~~~~~~~~~~~っ!!!!」

[メイン2]   : 破壊。破壊。破壊。
圧倒的、破壊力による……『破壊』ッ!!!
粉塵は、もはや何もかもを覆い隠していた。

[メイン2]   : そして───フレンダは、その粉塵の中…………

わからない。

[メイン2]   : 彼女は、少なくとも……マジ───と一言を残した後。
何も、動きは見せなかった。

[メイン2] 月霊髄液 : 数分に及ぶ、液体金属による刃の乱舞。

[メイン2] 月霊髄液 : そうして、その攻撃は一条のエネルギーを消耗するため

[メイン2] 月霊髄液 : 徐々に、徐々に治まっていき──────────。

[メイン2] 一条 : ─────煙に囲まれた中。

[メイン2] 一条 : 「はぁ……!はぁ……!!」

[メイン2] 一条 : 額に流れる汗を拭い。

[メイン2] 一条 : 「……勝った……!……そうだ……俺は、こんなところで負けるわけが、ないっ……!!」

[メイン2] 一条 : 「……クク……ククク……!!クカカカカカカカ……!!!」

[メイン2] 一条 : そうだ……!俺は、俺は……!!

[メイン2] 一条 :
ギャングスター
"帝愛幹部"になる男だっ………!!

[メイン2]   : ───その時

舞い上がった礫、粉塵がパラパラと落ちてくるのに乗じて
何枚もの折りたたまれた紙がふわり、ふわりと漂う。

[メイン2] 一条 : 「………あ……?」

[メイン2] 一条 : ざわ……

[メイン2]   : 『一条って言ったわね……アナタ……結構熱い男ね』

[メイン2] 一条 : ざわ……

[メイン2] 一条 : ひらりと舞う紙から聞こえた、その声に

[メイン2] 一条 : 一条は、唖然とした

[メイン2] 一条 : ……あ……?……ああ……??

[メイン2] 一条 : なん、だ……?どういう、ことだ……??

[メイン2]   : 『けれど見る目は全然無いわねェ~~!!!
 私に『覚悟』なんかあると思ってるってわけ!? 見ての通り、覚悟が無いからこんな事してるってわけよ』

[メイン2] 一条 : あの女は……仕留めたはずじゃ─────

[メイン2] 一条 : 「なっ………!?」

[メイン2]   : 『だから、あなたには真正面から立ち向かえないってわけよ
 ───だから、『傾ける』唯一の策がこれしかなかったってわけよ』

[メイン2] 一条 : かた、むけ、る……?

[メイン2] 一条 : 男の脳裏に過る─────悪夢っ……!!

[メイン2]   : 紙が、自然に
だが同時に───一斉に開いていく。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 『圧倒的密度と、質量には』

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 『圧倒的───


 物量ってわけよ!!!!』

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 大量のぬいぐるみが、一条に降り注ぐッッ!!!

[メイン2] 一条 : 「なぁああぁっっ……!?!」

[メイン2] 一条 : 上空より注がれる、ぬいぐるみの物量に、一条は

[メイン2] 一条 : "月霊髄液"で反撃せんとするが─────

[メイン2] : カチ

  カチ

   カチ

[メイン2]   : 妙な音が、ぬいぐるみから鳴り響く。

[メイン2] 一条 : ─────先程で、全ての力を使い切ってしまい……。

[メイン2] 一条 : 「あ……あ……あぁあ………!!」

[メイン2] 一条 : この、音……!?

[メイン2] 一条 : ざわ……ざわ……

[メイン2] 一条 : ざわ…… ざわ……
 ざわ…… ざわ……

[メイン2] 一条 : 「──────────爆弾っ……!?!」

[メイン2]   : 一条の読み……当たっている……がっ……!!

[メイン2] 一条 : 髪が乱れ、目に血管が浮き出て

[メイン2]   :


無慈悲にも、ぬいぐるみの綿が弾けると同時
『爆裂』……! 『爆裂』……!!!

[メイン2] 一条 : 自らに襲い掛かる、死神の手に……精神的に追い込まれていき

[メイン2]   : ───『爆裂』ウウウウッッ!!!!!!!!

[メイン2] 一条 : 爆裂するその光景が、網膜に焼き付き─────

[メイン2] 一条 : 月霊髄液の自律防御も、割かれるエネルギー量が僅かしか残っておらず─────

[メイン2] 一条 : 俺が……俺が……!?

[メイン2] 一条 : 負ける……だと……!?

[メイン2] 一条 : 「そんな……そんなばかなぁあああ~~~~~~~~~~っっ……!!!!」

[メイン2]   : ─────一条は、『爆裂』の嵐に、呑まれていった。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン :  

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「ふぅ~~~…………さーてっ、と」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「……」
パチ、パチ、と拍手を鳴らしながら軽快に歩を運ぶ。

───一条の元へ。

[メイン2] 一条 : 「──────────」

[メイン2] 一条 : 男は、崩れたビルの壁に傾けられ、倒れていた。

[メイン2] 一条 : 「……かひゅ……ひゅう……!」

[メイン2] 一条 : 僅かながらも、その息は残っており─────。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「生きてたってわけね、接近戦は想定してたから威力は抑えてたけど
 あの『物量』をかろうじて防いだのは、なかなかってわけよ」
拍手を続ける。そう、それは一条との初対面───拍手をされた事に対する、悪意ある『返し』ッッッ。

[メイン2] 一条 : ぼろぼろの髪と、ぼろぼろの服装、哀れな『敗者』の姿の一条は

[メイン2] 一条 : 気力で、目だけ動かし、フレンダをじろりと睨み。

[メイン2] 一条 : 「………く……そ……!」

[メイン2] 一条 : …………も、う……月霊髄液は……使え、ない……

[メイン2] 一条 : 「………殺せ……」

[メイン2] 一条 : 男の心情は、屈辱一色であった。

[メイン2] 一条 : 自分よりも遥か幼い少女に、ここまで敗北を期すことになるとは、思ってもみなかった。

[メイン2] 一条 : 悔しい……悔しいっ……!!

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「───…………殺せ? アーハッハッハッ!!!
 いい気味ね 慇懃無礼な態度を取ったアンタが今度はこうやって見下される。そしてあなたの首を握ってるのは私ってわけよ」

好き放題、悔しがる一条にそう口汚く言い放つ。

[メイン2] 一条 : もはや、ここまで転落人生だと………。

[メイン2] 一条 : 「………はっ……ははは……」

[メイン2] 一条 : 笑うしかなかった、ヤケの笑い、自暴自棄。

[メイン2] 一条 : 「そうだ………もう……俺は……」

[メイン2] 一条 : 「………疲れた……」

[メイン2] 一条 : 俺は……優れた人間なはずだった、だがこうして、『二度目』の敗北を覚え……。

[メイン2] 一条 : ……今まで積み重ねてきたものが、全て……全部……『無駄』だったように、思えてくる……。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : ───獲物に実力を誇示して……苦しみ悶えさせて……狩る
それが私の、狩り方。
この男も、また例外ではない。同じタイプの狩人。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : けれど、その上……私は殺されゆく他人の人生なんてどーでもいい。
むしろ、楽しい。
他人の今まで生きてきた人生を否定も何も、見ることもなく、刈り取る。
それが、楽しい。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : けれど、この男は最後の最後で、私に無理やり───今まで歩んできた人生を仄かに見せつけてきやがった。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン :  

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「なんであなたの言う通りにしないといけないってわけよ」

[メイン2] 一条 : 「…………あ……?」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「なんかむかついてきたってわけよ
 最後の最後で慌てふためいて泣きさけんだり、強気な言葉を吐くとか、そんなんじゃないの!? 普通」

[メイン2] 一条 : 男は、力を入れることもままならない体で、首を動かし
フレンダを見上げる。

[メイン2] 一条 : 「……………」

[メイン2] 一条 : 「………俺は……もう……『無理』だって……分かったからな……」

[メイン2] 一条 : 「潮時……幕引きだ……俺の人生……」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「私は、ただの自殺志願者に協力してあげる義理立ては無いってわけよ
 結局───アナタのさっきまでの態度も、ここまでの布石ってわけ?
 
 『偽物』だと」

[メイン2] 一条 : 「………偽物……だと……?」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「ええ、アナタってば他人に縄をかけさせてもらうなんて
 他人任せだとは思わなかったわ、それじゃあ今までの態度は偽物ってことになるってわけよ」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「死ぬ時も、自分で縄をかけて、自分で首を吊るぐらいの男だと思ってたわけだけど?
 しかも踏み外す台も全部手作りするタイプ」

[メイン2] 一条 : ……他人任せ……か……

[メイン2] 一条 : ……ククク……笑えるな……この女の言う通りだ……全部、その通り……耳が痛い……

[メイン2] 一条 : 結局俺は……臆病者だったわけだ………

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「ククク、ってなぁーにニヤついてんの
 ほら、やっぱりアナタ……最初みた時みたいな『余裕』あんじゃない」

じっと、一条の顔を屈んでみていて。

[メイン2] 一条 : 「……会ったばかりに女に、ここまでズケズケ言われるとはな……」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「……それはこっちの台詞ってわけよ!
 そっちこそズケズケ言いやがって~~~!!! はぁ~~~! なおさら萎えたってわけよ!」
すると、踵を返し
一条に背中を向ける。もちろん先ほどの液体金属にも警戒しつつ。

[メイン2] 月霊髄液 : 液体金属は、もはや地面に転がる液体金属でしかなく。

[メイン2] 一条 : 「………おい……何軽々しく背中向けてるんだ……」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「アナタみたいなのが急にしおらしくなって
 首を差し出してくるなんて、刈って摘んでも全然! 楽しくないってわけよ!」

[メイン2] 一条 : 「………俺を倒した女が、『敵』に隙を晒すだと……?ふざけろ……」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「まっ、残念だけどその瓦礫に関しては私は動かせないから
 自分で動かしなさいよね───……あっ、これ?」
後ろに手を振りながら、歩を運び始める。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「『余裕』と『誇り』ってやつよ」

[メイン2] 一条 : 「……………!」

[メイン2] 一条 : 分が悪い、といった表情を浮かべながら。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「この二つ、しっかり磨き直して
 瓦礫の一つや二つどけたら、また私を探しに来てもいいってわけよ

 だから───″一条″」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン :


「這い上がってきなさい、ってわけよ」

[メイン2] 一条 : 「──────────」

[メイン2] 一条 : その言葉は─────奇しくも、"あの男"が放った言葉と……同じだった。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン :

そうして、フレンダは暗部の人間だというのに厚顔無恥で
″日向″へと向かう為に、路地裏から立ち去っていく。

[メイン2] 一条 : ─────俺に、こんな俺に、情けをっ………!!

[メイン2] 一条 : 歯を食いしばりながら、体中に迸る痛みに堪えながら

[メイン2] 一条 : 悔し涙を、唯一人の場所で、声も漏らさずに流すのであった─────。

[メイン2] 一条 : …………アイツ……名前、何て言ったか……。

[メイン2] 一条 : ……俺をコケにして、なお、その言葉を掛けるというのなら………。

[メイン2] 一条 : ──────────次も……勝てよ………。

[メイン2] 一条 :  

[メイン2] 一条 :  

[メイン2] 一条 :  

[メイン2]   : ─────そうして、夜は明けていき……。

[メイン2]   : 戦の痕が残る、瓦礫に塗れた、フレンダと一条が戦った地。

[メイン2]   : 路地裏ということもあり、人は誰も通らず。

[メイン2] 一条 : 「………………………」

[メイン2] 一条 : そこで一晩、戦いでボロボロになった状態で、気絶するように眠っていた一条。

[メイン2] 一条 : 冬の寒空の下、一条の体温は奪われていき─────。

[メイン2] 一条 : ……"常人"であれば、一条の発見など不可能であろう。

[メイン2] 一条 : ──────────ただし、スタンド使いは、引かれ合う。

[メイン2] 保登心愛 : そして時刻は周り…

[メイン2] 保登心愛 : (さて…買い物もそうだが交番も…今日は忙しくなってくるな…)

[メイン2] シアーハートアタック : 「…」

[メイン2] シアーハートアタック : 「コッチヲ…ミロ…」

[メイン2] 保登心愛 : 「?」
「どうしたシアーハートアタック…!?」

[メイン2] ディアちゃん : 「なにそれー!かわいい!」

[メイン2] 保登心愛 : シアーハートアタックが刺す先に人が、血まみれで倒れている…!

[メイン2] 保登心愛 : 「な…何ぃーーーーー!?」

[メイン2] ディアちゃん : 「!!わっ!けがをしているひとがいる!」

[メイン2] 保登心愛 : 「ま…まずい!急いで救急車を…いや…!」

[メイン2] 保登心愛 : 「それじゃ間にあわない!”アイツ”を呼ばないと!」

[メイン2] ディアちゃん : 「あいつ?」

[メイン2] 保登心愛 : ピッポッパッ

[メイン2] 保登心愛 : プルルルル…

[メイン2] 東方仗助 : 「もしもし」

[メイン2] 保登心愛 : 「仗助!」

[メイン2] 東方仗助 : 「おっ、何だ吉良か、どうしたそんな血相変えた声でよぉ」

[メイン2] 保登心愛 : 「人が…人が倒れている!血まみれだ!」
「病院じゃ間に合いそうにない!すぐに来てくれ!」

[メイン2] 東方仗助 : 「!?」
「今どこだ!?」

[メイン2] 保登心愛 : 「場所は…」

[メイン2] 東方仗助 : 「…あそこか!そこなら今ちょうど近くにいる!ちょっと待ってろ!」

[メイン2] 東方仗助 : ピッ

[メイン2] 保登心愛 : 「私達は私達で出来ることをしなければ…!」

[メイン2] 保登心愛 :  

[メイン2] 東方仗助 : ”クレイジーダイヤモンド”

[メイン2] 一条 :  

[メイン2] 一条 : 重たい瞼が、軽くなっていくのを感じる。

[メイン2] 一条 : 身体に溜まった痛み、疲れが、全て溶けてなくなっていくように……。

[メイン2] 一条 : 「………ん……」

[メイン2] ディアちゃん : 「だいじょうぶ?」

[メイン2] 東方仗助 : 「間に合ったみたいで良かったぜ~、無事か?あんた」

[メイン2] 一条 : 体温が元に戻っていき……目を開け。

[メイン2] 保登心愛 : 「よかった…大丈夫か?」

[メイン2] 一条 : 「……ここ、は…… ……ああ、俺は……負けて…… ……?……お前らは……?」

[メイン2] 一条 : 目を細め、仗助の傍らに立つ"影"を見て。

[メイン2] 一条 : 「─────スタンド使い、か」

[メイン2] 一条 : 目を動かし、ココアとディアの存在も確認し……さらに、その2人も"スタンド"を保有していることを、本能的に察知。

[メイン2] 一条 : ……ここで戦うのは……圧倒的不利……。

[メイン2] 一条 : いや、それよりも……。

[メイン2] 保登心愛 : 「スタンド使い…それを知っているという事は」

[メイン2] 一条 : 「………ああ」
ココアに頷き。

[メイン2] 月霊髄液 : 周りに転がる液体金属が、集まっていき

[メイン2] ディアちゃん : 「へ〜!すたんどつかいなんだね!」

[メイン2] 月霊髄液 : ─────一つの球体へと変わり、宙へと浮く。

[メイン2] 一条 : 「………」
ディアの反応を見て。

[メイン2] 一条 : ……危機感の無い奴だな……?……いや、違う……

[メイン2] 保登心愛 : 「…うん?」

[メイン2] 一条 : 俺というスタンド使いを前にしても……『余裕』がある、ということか……?

[メイン2] ディアちゃん : 「どうしたの?おにいさん」

[メイン2] 一条 : 「………それよりもだ……」

[メイン2] 一条 : 「何故俺を助けた」

[メイン2] 保登心愛 : 何だ…今の違和感…いや今確かにティアちゃんがスタンド使いと…?

[メイン2] 保登心愛 : 「…?どういうことだ?」

[メイン2] 一条 : ぱっぱっと服についた誇りを払い、ゆっくりと立ち上がり。

[メイン2] 一条 : ココアを、じっと見る。

[メイン2] 一条 : 「………?……なんだその反応は」

[メイン2] 一条 : 「お前ら3人も……『矢』を探しているんじゃあないのか……?」

[メイン2] 東方仗助 : 「おいおい露伴みてえなこと言う奴だなコイツ…」

[メイン2] 一条 : 頭がハンバーグみたいな男に目をやりつつ。

[メイン2] 東方仗助 : 「…!」

[メイン2] ディアちゃん : 「や?なにそれ…?」

[メイン2] 保登心愛 : 「…!」

[メイン2] 一条 : 「………覚えアリ、と言う反応だな……?」
※一人を除いて

[メイン2] 一条 : 「………俺も、『矢』については、その実態はよく分かっていない」
ディアの方を見ながら。

[メイン2] 保登心愛 : 「矢の事まで知っているのか…」

[メイン2] 一条 : 「ただ──────────凄まじい力を秘めている、ということだけは聞いている」

[メイン2] 一条 : ココアに目線を動かし。

[メイン2] 一条 : 「その力があれば、世界を支配することすらも可能とされている─────」

[メイン2] 一条 : 「─────俺は、その『矢』を探している」

[メイン2] ディアちゃん : 「へ〜!やがあればていおーにちかづきそう!」

[メイン2] 保登心愛 : 「…探してどうするつもりだ?」

[メイン2] 一条 : 「……あ、ああ、そうだな……その『矢』があれば……帝王になれる……と思う」
ディアを見つつ

[メイン2] 一条 : 「……俺自身は、その『矢』そのものには興味はない」
ココアを見て

[メイン2] 一条 : 「それを欲する者がいる……『帝愛』、テレビや駅の広告で目にするだろう?」

[メイン2] 一条 : 「その会長が、『矢』を欲している」

[メイン2] 保登心愛 : 「帝愛…」

[メイン2] 一条 : 「そして俺は、それを頼まれた……『矢』さえ見つけ出すことができれば……俺は……俺は……」
拳を固く握りしめ。

[メイン2] ディアちゃん : 「そうなんだ…さがしてあげるなんてやさしいね!」

[メイン2] 一条 : ……敗北に塗られ、台無しになった人生を……輝かしい人生を……取り戻すことができる……!

[メイン2] 一条 : 「……あ、ああ……ありがとう……?」

[メイン2] 一条 : ……調子が、狂う……!!

[メイン2] 東方仗助 : 「何か聞いたことあんな…確か玉美って野郎もあそこで働いてなかったか?」

[メイン2] 保登心愛 : 「アイツか…」

[メイン2] 保登心愛 : (じゃあ碌な所じゃ無さそうだな…)

[メイン2] 一条 : ……あ?……分からないが……なんか、馬鹿にされてそう……!?

[メイン2] 一条 : こ、こいつらぁ……ガキどもが……。

[メイン2] 一条 : 「………コホン!」

[メイン2] 一条 : 少し強めに咳をし。

[メイン2] 一条 : 「……とにかく、俺はそれを探している」

[メイン2] 保登心愛 : 「…まあ事情は分かった」

[メイン2] 一条 : 「お前らもそれを探している、というわけじゃあないなら……『敵』ではない、と認知する」

[メイン2] 一条 : ココアを見て。

[メイン2] 保登心愛 : 「ああ、別に矢には興味は無い」

[メイン2] ディアちゃん : 「わたしはぶかをたおすためにきてるから!」

[メイン2] 一条 : 「……ぶか……?……そ、そうか……」

[メイン2] 一条 : ………この3人からは、『今の所』、敵意は感じない

[メイン2] 一条 : さらに言えば……ただの学生……

[メイン2] 一条 : スタンドについては、知っていそうだろうが……矢については、深くは知らないだろう……
ならば、もうこの場には用は─────

[メイン2] 一条 : …………待て……。

[メイン2] 一条 : ざわ……ざわ……

[メイン2] 一条 : ……俺は、あの金髪のガキに、むざむざと負けた。

[メイン2] 一条 : 年下に、『余裕』に、負けた……。

[メイン2] 一条 : 俺は、戦いなど知らないからな……あの結果も、当然と言えば、当然の帰着……。

[メイン2] 一条 : ココア、仗助、ディアの3人へ目をやり。

[メイン2] 一条 : 「………一つ、質問してもいいだろうか?」

[メイン2] 保登心愛 : 「…何だ?」

[メイン2] ディアちゃん : 「んー?」

[メイン2] 一条 :
 ・・・・
「どの程度まで、"スタンド"を知っている……?」

[メイン2] 一条 : 俺に足りないのは……情報……戦う知恵……武器っ……!

[メイン2] 保登心愛 : 「……」

[メイン2] 保登心愛 : 「いや…別に私もそこまで深く知ってるわけではないが…」

[メイン2] ディアちゃん : 「なんかこうどーんってやってばーん!みたいな!」

[メイン2] 一条 : 「……具体性に欠けた質問だったな……これは失礼した………お前達3人は、どの程度までスタンド使いと戦える……?」
ざわ……ざわ……

[メイン2] 保登心愛 : 「……そういう質問なら」

[メイン2] 保登心愛 : 「生憎だが私はスタンドを闘争の為に使おうとは思わない」

[メイン2] 保登心愛 : 「「勝ち負け」にこだわったり
頭を抱えるような「トラブル」とか
夜も眠れないといった
「敵」をつくらない
…というのが
わたしの社会に対する姿勢であり
それが自分の幸福だという事を知っている……」

[メイン2] 保登心愛 : 「だから戦いとは無縁でありたい、それが私の答えだ」

[メイン2] 一条 : ………敵を作らない……守り続けたい、平穏……静かな、安心な日々……それが、この女の求めるもの……。

[メイン2] ディアちゃん : 「わたしは…ていおーになるゆめをじゃまするぶかはゆるせない!」

[メイン2] 東方仗助 : (ところで吉良この子は誰なんだ…?)

[メイン2] 保登心愛 : (分からん…迷子だとは思うが…まさかスタンド使いだったとはな…)

[メイン2] ディアちゃん : 「でも…はなしあいでかいけつするなら…それにこしたことはないかな」

[メイン2] 一条 : ククク……俺とは……正反対……全くの、逆の性質……水と油だ……
……人助けに力を使うお人好しならばと、俺はこの3人を、『矢強奪戦』で勝つための、協力者として取り込もうと考えていたが……

[メイン2] 一条 : ……無理な話だな……。

[メイン2] 保登心愛 : 「…そうだな、えらいぞディアちゃん」

[メイン2] 一条 : 「………話し合い、か……」

[メイン2] 一条 : 「………変な事を聞いて悪かったな、治療、ありがとう」

[メイン2] 保登心愛 : 「いや…いいさ」

[メイン2] 一条 : コツ、コツ、コツ、と歩き、3人の間を抜け、表へと歩いていき。

[メイン2] 保登心愛 : 「ただ一つだけ忠告しておく」

[メイン2] 一条 : 「………」

[メイン2] 一条 : 足を止める。

[メイン2] ディアちゃん : 「………?」

[メイン2] 保登心愛 : 「この街を戦場にはしないで貰いたい」

[メイン2] 一条 : 「…………善処はしよう」

[メイン2] 一条 : 振り向かず、背中越しにココアへ語る。

[メイン2] ディアちゃん : 「がんばってねー!」

[メイン2] 保登心愛 : 「……」

[メイン2] 一条 : そう言い、一枚の紙をココアへとひらりと投げる。

[メイン2] 一条 : 流れるビル風に乗り、その紙は、ココアの手に。

[メイン2] 一条 : 「俺の名は一条だ」

[メイン2] 一条 : 「……借りを作ってしまったわけだからな」

[メイン2] 保登心愛 : 「なら私も名乗らせてもらおう、」

[メイン2] 保登心愛 : 「私の名は吉良吉影」

[メイン2] 一条 : 「……この街で、万に一つ"戦い"が起こった場合は……その紙に書いてある、俺の電話番号にかけてくれ」

[メイン2] 一条 : 「………吉良吉影か、ああ、覚えた」

[メイン2] ディアちゃん : 「わたしはディアだよ!ディアちゃんってよんでねー!」

[メイン2] 保登心愛 : 「この電話番号か、わかった」

[メイン2] 一条 : 「………あ、ああ……ディアか……そちらも覚えた」

[メイン2] 一条 : 「………俺は、借りを作りっぱなしにするのは、嫌いだ」

[メイン2] 一条 : 「じゃあな」

[メイン2] 一条 : 手をひらつかせ、そのままどこかへと消えて行く─────。

[メイン2] 保登心愛 : 「ああ、じゃあな」

[メイン2] ディアちゃん : 「きをつけてねー!」

[メイン2] 東方仗助 : 「…さて俺は帰るとすっかあ」

[メイン2] 保登心愛 : 「えっ」

[メイン2] ディアちゃん : 「あっ!おにいさん!ぶかにならない?」

[メイン2] 東方仗助 : 「えっ?」

[メイン2] ディアちゃん : 「きずをなおすちからもってるなんてうらやましいよ!ぶかにほしいくらい!」

[メイン2] 東方仗助 : 「い…いや~部下はそこの姉ちゃんにでも頼んだ方がいいんじゃないかな~って」

[メイン2] 保登心愛 : 「私はもう部下だ」

[メイン2] ディアちゃん : 「きらちゃんはもうぶかだよー!」

[メイン2] 東方仗助 : 「……」

[メイン2] 東方仗助 : 無言でダッシュ

[メイン2] 保登心愛 : 「あっ!コラまて仗助!」

[メイン2] ディアちゃん : 「にげられたー!」

[メイン2] 東方仗助 : 「ふざけんな人命救助だから来てやっただけだ!」
「子供のおもりまで任されるのはごめんだぜアバヨ~~~~!!」

[メイン2] 保登心愛 : 「ぐ…ぐぅ…!」

[メイン2] 保登心愛 : (正論だ…!)

[メイン2] ディアちゃん : 「おもりー?」

[メイン2] 保登心愛 : 「ああ、いやなんでもないんだ、行こう」

[メイン2] ディアちゃん : 「わかった!いこう!」

[メイン2] 保登心愛 : さてしかし…

[メイン2] 保登心愛 : 私もこの子をどうすればいいのか…

[メイン2] 保登心愛 :  

[メイン2] 保登心愛 :  

[メイン2] 保登心愛 : 「ハァ…ハァ…だ…大丈夫か…?」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……はぁ……はぁ……」
貫かれた腹のパーツを埋め合わせ、そっと嵌め込む

[メイン2] 保登心愛 : 「……!再生能力か…!」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……すみません、助かりました」

[メイン2] 保登心愛 : 「それならひとまずこれで安心だな…」

[メイン2] 保登心愛 : 「……こんなことを初対面の人に聞くのはおかしいかもしれないが今は状況が状況だ」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……」

[メイン2] 保登心愛 : 「教えてくれ、彼女は一体何者なんだ…?」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「『ボス』」

[メイン2] 保登心愛 : 「ボス…?」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「『パッショーネ』のボス。『永遠の絶頂』を求めた……『皇帝』です」

[メイン2] 保登心愛 : 「皇帝…!?あんなまだ年端もいかぬ少女がか…!?」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「いえ、確証は取れません。本当に彼女が、『ディアボロ』と同一人物とは」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……しかし、『キング・クリムゾン』のスタンドは……」

[メイン2] 保登心愛 : 「あのスタンド…その反応はもしかして前にも見たことがあるのか…?」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「.……僕が、倒した。そのはずです」

[メイン2] 保登心愛 : 「倒した…」
倒した…その言葉の意味は話の流れで理解できた…だが、それじゃまるで…

[メイン2] 保登心愛 : 「死人が生き返ったと…転生したとでもいうのか…?」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……考えられませんし、考えたくもありませんが、それに近いことが起きている」

[メイン2] 保登心愛 : 「…ならもう一つだけ聞きたい」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「なんでしょう」

[メイン2] 保登心愛 : 「君が見たディアボロと彼女は、姿形が違っているのか?」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……違います」

[メイン2] 保登心愛 :

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「『ディアボロ』は、男でした。それも成人男性ッ!」

[メイン2] 保登心愛 : 「…わかった」

[メイン2] 保登心愛 : 「ならまずはどうにかしてあの金髪の少女を助けるぞ」

[メイン2] 保登心愛 : ジョルノの言うことが本当なら…彼女はディアボロではない、何らかの影響下にあるはずだ

[メイン2] 保登心愛 : それに…

[メイン2] 保登心愛 : ジョルノを殴った彼女は…明らかに”動揺”していたッ!!

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……彼女は」

[メイン2] 保登心愛 : ディアちゃんの意識がそれた…!今だ!

[メイン2] 保登心愛 : 「キラークイーン!」

[メイン2] 保登心愛 : 時を止めて

[メイン2] 保登心愛 : 回収する

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン :

「───むぎ、の……ごめ……ん」
何か譫言のように呟きながら、気絶しかけてるのかしてるのかわからない状態の彼女が、時間停止され
『無事』救出される。

[メイン2] 保登心愛 : 「後は頼む!」
ジョルノに対し

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……治療しなければ」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「『ゴールド・エクスペリエンス』!」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 幸いにも、ディアによって『手加減』されたダメージ
ジョルノの治療は───容易に間に合うッ!

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「っはぁっ……ハァーッ ハァーッ」
まだ息は荒げているが、間違いなく回復へと向かう。

[メイン2] 保登心愛 : 「間に合った…」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……しかし、彼女を放っておくわけにも、いかない」

[メイン2] 保登心愛 : 「ああ…だが」

[メイン2] 保登心愛 : 「彼女は…なんとかできないか?」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……あるかも、しれません」

[メイン2] 保登心愛 : 「本当か…!?」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「ですが……その為には足りない。最後のピースが」

[メイン2] 保登心愛 : 「何が必要なんだ…?」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「───ピースって……何よ」
妙に、鉛のように重い身体をせめて上半身だけ起こし。
目を、しばしばとさせて。

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……『矢』。『矢』の、パワーです」

[メイン2] 保登心愛 : 「矢の…パワー?」
矢は知っている、スタンドを覚醒させる道具だ、だが矢のパワーとは…?

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「『矢』───」
それは、私が、そしてこの男も求める『聖なる矢』───
けれど、ここに現物は、無いッ!

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「取らぬ狸の皮算用、ってわけよ……無いもの強請りでもすりゃいいの……『神』にでも……」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……スタンド能力の向こう側」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「『レクイエム』、それに勝機はあるッ!」

[メイン2] 保登心愛 : 「…!」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「レクイ、エム……『向こう側』……!!?
 その目……それを間近で見た、って目ね……」
『信用』を買ってやったし、売ってやったのよ……信じるしかないじゃない、この目は……!

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……その為には、『矢』が必要だ」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「…………なら、その矢を……探し出したら、あなたに託すってわけよ
 この状況を『跳ね返す』為に」

[メイン2] 保登心愛 : 「つまり矢を手に入れれば…!」

[メイン2] 保登心愛 : 「彼女を…なんとかできるんだな…!?」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「あの時と同じ。『ボス』を止める為、矢を手に入れる」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……協力、してくれますね?」

[メイン2] 保登心愛 : 「ああ、勿論だ」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「私は暗部の人間ってわけよ? でもそれでもやるっての?


 ───だから、気に入ったってわけよ」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……」

[メイン2] 保登心愛 : 彼女はあの暴走するスタンドに”日常”を…心の平穏を奪われている…

[メイン2] 保登心愛 : それで彼女の平穏を取り戻せるなら…やってみる価値はある!

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「そうと決まれば、こうやって私も座り込んでる場合じゃあ、ないわね……」

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「ええ。行きましょう」

[メイン2] 保登心愛 : 「ああ…行こう」

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : ググ、と拳に力を入れて。
ニヒヒ、と笑みを浮かべる。

[メイン2] ジョルノ・ジョバァーナ : 「『ボス』を倒して、『彼女』を救う為に」

[メイン2]   : ───そして、三人は行く。

『ボス』を倒し、『少女』を救い───永久の平穏の為に。

[メイン2]   :  

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : ───……

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : ふと、私は腕に、レストランの残骸に混じっていたであろうフォークが突き刺さっているのに気づき
それを引き抜いて、しれっと捨てた。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン :  

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 痛みが段々と薄れていってるのは、私にもわかっている。

それは理解しがたいけれど、背く事のできない現実。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : ハッキリと、生の方へと傾いていた最後の『痛み』は
───一条。あの男の攻撃を喰らった、あの瞬間。

それで途切れていた。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : あの深紅に染まった、王の出で立ちのスタンドヴィジョンに吹き飛ばされても
私は、肉体が悲鳴をあげているのに、語気を強めて、立ち上がろうとしていた。

───アハハ……もう限界なのね。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン :  

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : ずうーっと…………悪夢だと思い込んでいた。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : わたしは───……

『死んでいる』

[メイン2]   :  

[メイン2]   : 一年前、S市付近。

[メイン2]   : エニグマの本を『回収』
───並びに、「アイテム」の構成員の遺体を回収。

[メイン2]   : しかし、回収から30分後。
大地震が発生し───土砂崩れが発生。
S市内で壁のように大地が隆起するほどの物だった。

[メイン2]   : 本と、遺体を回収した車は
土砂へと呑まれる。回収班は全員生存したが。

[メイン2]   :  

[メイン2]   : 本と、遺体は見つかる事はなかった。

[メイン2]   :  

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : 「………」

悪夢の最後に、私を呼び止めるあの声も
もう二度と訊けないのだろう。それはもうわかってるってわけよ。

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン : なら、あの子の為に

せめて最後くらい…………派手に、やりたいじゃない? 二ヒヒ

[メイン2] フレンダ=セイヴェルン :  

[メイン2] ヴィオレタ :  

[メイン2] ヴィオレタ : …さて、姉さん達とも別れたしここからどうするか…
アイツは本当に何処に行ったんだ…

[メイン2] ヴィオレタ : ルルカ……

[メイン2] ルルカ : 「……いた!!ヴィオレタ!」

[メイン2] ルルカ : 「何処に行ってたのよー!もう!」

[メイン2] ヴィオレタ : 「…ルルカ…お前こそ何処にいたんだ…」

[メイン2] ルルカ : 「私?そんな事はどうでもいいの!帰るわよ!!」

[メイン2] ルルカ : いつも通り、帰り道を開く

[メイン2] ヴィオレタ : 「あ、あぁ……」
まったく、こっちはとても大変だったんだぞ……
まぁ…ルルカには敵わんかな……

[メイン2] ヴィオレタ : 「………レイア姉さん、モネ姉さんとまたいつか会えるといい、な」

[メイン2] ヴィオレタ :  

[メイン2] ルルカ : 「ちょっとー!誰よその姉さん達は!!!!」

[メイン2] ヴィオレタ : 「ははっ………いやぁ………」

[メイン2] ヴィオレタ :  

[メイン2] ヴィオレタ :